【屋根の種類】スレート瓦(カラーベスト屋根)の修理と塗り替え
2016-02-13
いつもブログを読んで頂きありがとうございます。
さてスレート瓦についてですが、種類は天然スレート、無石綿スレート、セメント系スレート(コロニアル・カラーベスト)とある中、最近の主流はセメント系のコロニアルやカラーベストですね。
セメント系スレート(コロニアル・カラーベスト)
ケミューのコロニアルクアッド(平型)
セメントと繊維を高温高圧下でプレスし成形した板状のスレートに着色剤で着色していきます。
この塗装や表面の仕上げの材料で長持ち度合いが変化します。
新築当初に何も言わなければ、ほとんどは安価で耐久性の良くないものが使用されているかと思います。
また、形は一般的な平型や波型や特殊な形状のものも出てきています。
最近ではこのようなスタイリッシュな形状もあります。
外壁と比較すると、紫外線や雨風や雪にさらされている屋根のほうが断然過酷な環境と言えますが、最近では耐久性の強い素材を使用しているので、20年放っておいても必ずしも雨漏りを起こす訳ではありません。
ただ、表面に付着した藻やカビやコケなどにより屋根材と屋根材のすき間にゴミが溜まってしまうと、毛細管現象により、そこから雨水を吸い込んで下地の合板の腐食や雨漏りの原因となってしまうケースもあるので、足場を立てる際は、同時に点検やメンテナンスをするほうが安心でしょう。
※毛細管現象とは、簡単に言えば水を吸い込む現象です。
雨漏りの原因を理解する上で、この現象を知って頂くことが大事ですので、少し説明させて頂きます。
植物もそうですが、土の中にある根が水を吸い上げています。
これも毛細管現象の一種です。
少し実験します。
コップにグレープジュースを入れて、上からティッシュを近づけます。
1ミリ~2ミリ程度濡らします。
たった1ミリ~2ミリ程度濡らしただけなのに、
8センチほど濡れています。
しかも重力に逆らって下から上に水が吸い上がりました。
これが毛細管現象で、雨漏りの原因になってきます。
数十年経ったスレート瓦とスレート瓦の重なった箇所に藻やコケやその他の不純物が付着してきます。
この付着物が水を吸い上げる原因になります。
先ほどの実験で言うと、藻やコケがティッシュと同じ役割を果たすことになります。
さらに、この藻やカビやコケといった付着物が重なりあった部分のすき間(通気のための溝)を埋めてしまうことで、浸入した水分の逃げ場を失くしてしまいます。
そうなると浸入した水分の行き場がなくなり、野地板(下地)の合板を傷める原因にもなります。
(一度水が通ってしまうと、水が通る道ができます。)
これが進行すると雨漏りとなるケースが多いです。
さて、具体的なメンテナンス時期と方法についてですが、症状は経年による変色、反り、ひび割れ、藻やカビやコケといった不純物の付着、塗膜の劣化やチョーキング(白亜化)等々が出てきます。
変色(色が飛んで薄くなっている状況)
7年~10年くらいで症状として現れます。
塗膜の劣化、チョーキング(白亜化)、不純物の付着
10年~15年くらいで症状として現れます。
ひび割れ
それでは具体的な補修方法ですが、屋根の塗装(塗り替え)か屋根のカバー工法(重ね葺き)か
屋根の葺き替えになってきます。
(費用は塗装→カバー工法→葺き替えの順に高くなります)
ここでは塗り替えについてご説明しますね。
塗り替えで一番大切な工程の下地処理です。
高圧洗浄
何十年もの汚れ、表層の劣化した旧塗膜、藻やカビやコケといった不純物をしっかりと除去することで、新しい塗膜の密着力を強くし、塗料本来の効果を発揮させます。
また小さなひび割れはシーリング剤の充填で補修しますが、大きな割れについてはスレート瓦の差し替えになります。
続いて1回目の塗装の下塗りです。
通常はシーラーを塗りますが、屋根の傷み程度によってこの下塗り材は変わります。
大きく分けて水性、弱溶剤、溶剤(油性)とあり、油性になるほど密着性が高くなります。
(ちなみにこの家はシーラーだけで3回塗りました。塗料の吸い込みが止まらなかったためです。)
中塗り(2回目塗装)と上塗り(3回目塗装)です。
最後は手塗りです。
屋根塗装(塗り替え)の注意点ですが、これだけしっかりと塗装を行ないますと、1枚1枚のスレート瓦が塗膜で密着してしまうことがあります。
このままですとスレート瓦の間にゴミが入ってしまっている状況と同じで、雨が降った時に“毛細管現象”を起こし、雨漏りの原因になってしまいます。
(毛細管現象は先ほどご説明しましたので省略します。)
このようなことにならないように、重なった部分を1枚1枚切る
“縁切り”という作業が重要になります。
また縁切りによってスレート瓦を傷つけてしまうケースもあるので、縁切り部材である“タスペーサー”を重なり部分に差し込むことで、すき間が確保されて、通気性が保たれた状態が確保されます。
タスペーサー設置
縁切りにするかタスペーサーを付けるかは現場で判断していきます。
以上でスレート瓦の補修と塗り替えについては終了します。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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この記事を書いた人
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【所有資格】
2級建築施工管理技士
宅地建物取引士
外装劣化診断士
2級福祉住環境コーディネーター
\ 創業50年以上・施工実績 4,900件以上 /
一人でも多くの人に適正なリフォームをして欲しくて、一人でも多くの笑顔(スマイル)が見たくて、この事業を展開することにしました。
まだまだ未熟者ですが、精一杯の真心と愛情を込めて対応させて頂きます。
初心を忘れることなく、どんな小さな工事でも喜んでお請け致しますので、お気軽にお申し付けください。